活動報告activity report

特別委員会お知らせ

決算特別委員会

日頃から、委員会資料を風呂敷に入れて委員会に臨みます。

静岡県議会は、決算審査の成果をPDCAサイクルにて予算審査に反映するよう、平成25年から決算特別委員会を設置しています。令和2年度一般会計、特別会計及び財務状況等の決算審査は、9月定例会にて委員を選任し、特別委員会分科会で部局別審査した後、12月定例会開会日に賛成多数で認定されました。同日、議長から知事に結果を通知し、今後の事業への反映を要望しました。

決算特別委員会設置等に関する詳細は以下からご覧くださいませ。

令和3年度 決算特別委員会「小沼ひであき」質疑応答要旨

12月8日、9日

<ICT拠点形成に向けた支援>

(小沼委員)令和2年度に制定した「コワーキングスペース設置事業費補助金」について、利用者の詳細を伺うとともに、どのように結果の要因を分析しているか伺う。

(山田産業イノベーション推進課長)企業からの照会は10件程度あったが、コワーキングスペース補助金の昨年度の交付実績はなかった。補助申請に至らなかった理由を聞き取りしたところ、補助要件、特に国内外に設置している事業者、あるいは入居者の支援体制の整備に適合しないケースが多かった。 この補助金は、高度なICT人材を確保するために、高いレベルの支援体制を有するコワーキングスペースの設置をターゲットとしており、結果として、補助金の利用につながらなかったと要因を考えている。

小沼(意見)例を挙げると、掛川市では空家・空店舗対策として、まちづくり・地域活性化を考える「かけがわランド・バンク」という、設計士、不動産業者、工務店など他業種による特定非営利活動法人が自ら「コワーキングスペースKAKEGAWA」なるものを中心市街地に開き、ICT拠点の形成と街中のにぎわいの創出に繋げている。デジタル化社会の到来においてICT拠点の形成は重要な施策であり、この支援は成果としていき届かなければならない。結果として交付実績は0(ゼロ)だったとのことだが、このICT拠点の形成事業、コワーキングスペース設置事業が県外からの事業者の設置に限る条件であったというところが、非常に厳しいものになっているのではないか。 県民が新事業として挑戦しやすいよう、県民によるICT拠点の設置、それによって県外から支店や事務所が開設される、そういった発想に基づいたほうがよい。意見としてICT拠点の設置条件の緩和を要望する。

<EV・自動運転化等技術革新対応促進事業費>

(小沼委員)EV化や自動運転化など、こういった進展が世界的に加速する中で、県では県内企業が次世代自動車の開発・製造に参入することを支援している。その支援プラットフォームの中心となる「次世代自動車センター浜松」の取組を含め、県の取組と成果について伺う。

(櫻川産業革新局技監)令和2年度の主な取組としては、「次世代自動車センター浜松」が行う、次世代自動車の開発に不可欠な企業の固有技術探索活動、EVの分解活動報告会、自動車メーカーOBなどのコーディネータによるマッチング活動、試作品開発などへの支援に重点的に取り組んだ。また、工業技術研究所に次世代自動車向けのカメラやセンサーに搭載されるレンズ等の微細形状を測定できる評価試験機を整備し、中小企業の技術力向上や人材育成を図った。これらの取組による成果として、次世代自動車センター浜松が実施したアンケート調査では、次世代自動車関連部品の量産や開発を進めている企業の割合が、1年で7.4ポイント上昇し、51.4%となり、県内企業の次世代自動車への参入が着実に進んでいる。 さらに今年度は、カーボンニュートラルに向けて世界的に脱ガソリン車の動きが加速する中、県内企業の取組を進展させるため、学識経験者や自動車メーカー、部品関連企業から成る「次世代自動車の電動化・デジタル化等対応研究会」を立ち上げ、これまで3回の会議を行い、地域企業への支援策を検討している。研究会の報告書が年内にまとまることから、報告書の内容を踏まえ、これまでよりも更に一歩踏み込んだ支援を行っていく。

(小沼委員)※意見  ものづくり王国静岡県の復活となるように、EV化や自動運転化の事業化において、静岡県の企業が全国においてイニシアチブを取れるよう、県として技術革新への力強い促進に今後も務められたい。                              

<次世代エネルギー産業構築支援事業費>

(小沼委員)将来のエネルギー利用を見据えた取組として、水素ステーション整備の助成について、浜松市内に水素ステーションについて助成をしたとしているが、その事業の狙いと効果を伺う。

 (川田エネルギー政策課長)今回助成した、浜松市内に設置された水素ステーションは、県内で4カ所目のステーションになる。水素ステーションは、ご存じのとおり燃料電池車など、水素を活用する車両の普及に向けて不可欠なインフラであり、本県では、国と連携しながら水素ステーション整備に対し助成することで、インフラの充実を進めている。水素エネルギーの普及には、技術や経済性の面でまだまだ多くの課題があるが、県としては、今後も、将来の水素社会の実現に寄与していく。

(小沼委員)※意見  2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、成長が期待されるエネルギー関連産業をぜひ静岡県内で展開されていくよう期待する。静岡県発のエネルギー関連産業が国際競争力の維持・強化を果たしていけるよう、支援事業や整備が今後も有効に執行されるよう務められたい。

 <中小企業高度化資金貸付事業等特別会計における収入未済額>

(小沼委員) 中小企業高度化資金貸付事業等特別会計の予算の執行実績において、依然、多額の収入未済額があるが、その要因と収入未済額の解消に向けた取組の状況について伺う。

(山脇商工金融課長)収入未済額の解消に向けては、債権の回収と整理、新たに収入未済を増やさない取組の3点が必要と考えている。まず、回収について、令和2年度は、設備近代化資金と高度化資金において10貸付先から3,666万円余を回収した。償還を増やすための取組として、県債権管理マニュアルに基づき、債務者への訪問面談、文書や電話による催告及び協議を行い、償還計画を策定して計画的な収入未済解消に取り組んでいる。令和2年度は、訪問面談5件、文書催告22件等による償還指導を行った。次に、債務者が無資力であるなど回収の見込みがない債権については、所定の要件を満たすことを確認した上で、整理を行うこととしている。令和2年度は、設備近代化資金の1貸付先、未済元金37万円に係る権利を放棄し、不納欠損処分を行った。さらに、新たな収入未済を発生させないように、貸付金の償還が約定どおりに行われている貸付先についても、静岡県産業振興財団や静岡県中小企業団体中央会と連携し、貸付先の経営状況等の把握や事後指導を行っている。今後とも、関係機関と連携を図りながら、適正な債権管理に努めていく。多額の収入未済額の大きな部分は、高度化資金である。これらは、高度化資金の貸付け後に、事業がうまくいかなくなり、倒産等が生じたことに伴い、組合等が約定どおりに償還することができなくなったことによるものである。

小沼(意見)今後も積極的に収入未済額の解消に向けた取組に努めていただきたい。 一方、中小企業者は大変厳しい状況下にあるので、中間の段階でのアドバイス等、中小企業者をサポートするような取組にも努めることを怠らないようにしていただきたい。

<新規就農の支援について>

(小沼委員)本県における新規就農者育成対策における、詳細な実績、効果を伺う。

(藤田農業ビジネス課長)県では、「就農相談」、「短期の農業体験」、「研修」、「就農・定着」という新規就農に向けての各段階に応じた支援体制を整え、就農前から就農後まで一貫したサポートを行っている。「就農相談」では、オンライン相談会等により、県農業振興公社の「青年農業者等育成センター」への委託で139件、県農業会議が行う新規就農相談事業への助成で131件の相談実績を挙げ、農業体験や研修事業への参加者の確保、雇用就農等の確保につなげた。「短期の農業体験」としては、非農家出身の社会人等を対象に、最大7日間の「短期農業インターン受入事業」を実施し、延べ24人が113日、平均4.7日程度の体験を行った。体験後のアンケートでは参加者の9割が県内の就農を希望し、このうち、既に2人が令和3年度の県の実践研修を予定し、1人は雇用就農に至っている。「研修」では、「がんばる新農業人支援事業」により1年間の実践研修を実施し、17人の研修生を確保した。本研修生の独立就農後の定着率は、事業開始から16年間、H16からR元までで98%、183人中179人の営農継続が確保されており、また既に、かつての研修生が研修を受け入れる指導農家となるという好循環も生まれるなど、県内の産地維持に貢献している。 「就農・定着」に向けては、「青年農業者セミナー」を開催し101人が受講した。例年100人程度の受講生を確保しているが、経営管理等を学ぶとともに、受講生同士の交流や先輩農業者への訪問を通じて地域の農業者とのつながりを作るということが最大の効果と考えている。

小沼(要望)  新規就農者は県内農業の未来であり宝であるので、今後大学や学生を始め幅広い広報に努め、儲かる農業につながる新規農業法人の立ち上げ等、力強い支援策に取り組まれたい。

<ビジネス林業の定着>

(小沼委員)林業の担い手確保に向けては、新規就業を促進する必要がありますが、新規就業を確保するために実施した、林業の魅力発信のねらいと取組内容の詳細について伺います。

(西室林業振興課長)まず、狙いにつきましては林業への就業者は、他産業からの転職者が多く、新規就業者に占める新卒者の割合は2割を下回っております。一方で林業経営体の多くは、若年層の新規就業を求めておりますことから、高校生の職業選択の中に、林業の意識付けを図る取組を拡充することといたしました。次に取り組み内容といたしましては、まずは、林業の仕事の内容や魅力について、高校生の理解を深めました。具体的には、県立伊豆総合高校への出前講座を開催いたしまして、地元の林業経営体の森林技術者が、高性能林業機械による伐倒作業の実演などを実施いたしまして、機械化が進む今の林業を認識していただいたところです。加えまして、若者自らが同世代に林業の魅力を発信していただくため、島田商業高校におきましては、森林技術者との意見交換や現場見学等を通じまして、若者が自ら感じました林業の魅力を発信するポスターやチラシなどの作成をしていただいたところです。

小沼(意見)ビジネス林業を推進するということ、つまり儲かる林業へとつないでいくという観点を大切にしていただきたい。既存の森林組合だけでは競争の原理が働かず、林業としてのサービスの向上、技術の向上につながらない。より多くの林業従事者が競い合い、明日の林業振興策つながりますよう、新規就業をより積極的に推進するよう取組に努めていただきたい。